詩「海雀」(北原白秋)
                                                                      TOSS SANJO 田代勝巳
 
 
 授業の実際
(1)読み
教師の範読、追い読み、一斉読み(2回繰り返す)、班ごとに、一人ずつ指名して(4名)、起立して3回音読する。
 やはり「波ゆりくれば・・・かげ失する」が抵抗がある。
(2)指示1

指示1 この詩を読んでわかったこと、気がついたこと、思ったことをノートに書きなさい。
 
 5分間時間をとり、指名なし発表をおこなった。国語で、「わかったこと、気がついたこと、思ったこと」を書かせたのは初めてである。子供が書いた数は次のとおり。
  0個・・・・・1人   1個・・・・・3人   2個・・・・・4人  3個・・・・・4人  4個・・・・3人   5個・・・・2人    6個・・・・4人   7個・・・・1人  8個・・・・・2人  
 書けた数を聞いてから、指名なし発表をした。(6分間で38個の発言)
1)銀の点点みたいな海雀だと思う。(彩未)
2)海雀という題名がわからない。(恵介)
3)海雀の動きを説明しているようだ。(大地)
4)銀の点点のところがわからない。(ちさと)
5)北原白秋はよっぽど海雀がすきなのだな。(理佐)
6)この詩は海雀を遠くから見ているようだ。(大二朗)
7)なぜ海雀という名前なのか。(和馬)
8)海雀が2回つづいている。(亘)
9)海雀には銀の点点があることがわかった。(千里)
10)海雀は雀なのか。(恵加)
11)たぶん波がなくなったらいなくなる。(清隆)
12)夏などはどこにいるのか。(和馬)
13)海雀とたくさん書いてある。6回(智代)
14)海雀は・・・
15)北原白秋は生きているのか。(晃一)
16)海雀は海にしかいないのか。(紀子)
17)海雀はどのくらいの大きさなのか。(和馬)
18)
19)海雀は銀の点点なのか。(大地)
20)
21)銀の点点って何(雅)
22)海雀は何色か、(和馬)
23)一行目と五行目が海雀、海雀と繰り返している。(恵介)
24)海の波がみちたりひたいりしているようなかんじがする。(大地) 
25)海雀は何で銀の点点がついていいるのか。(佑貴)
26)
27)本当に銀の点点がついているのか(和馬)
28)波ゆりくればゆりあげての意味がわからない。(雅)
29)海で思ったことが書いてある。(恵介)
30)海雀は海に住んでいるのか。(清隆)
31)かげうするってどういう意味なのか。(和馬)
32)海の上に冬にくる雀(友美)
33)波ゆりくればゆりあがることがわかった。(佑貴)
34)銀色の点が海雀についているのか。(清隆)
35)ゆりあげてってどういう意味か。
36)なみひきゆけばかげがうすることがわかった。(佑貴)
37)波ゆりくればとひきゆけばってどういう意味(和馬)
38)海雀という題がわからない。(恵介)
 
 「繰り返す」ことをリフレインということをおさえる。

発問1 海雀は何羽いますか。
 
 指名してきいていった。
「6羽」「2〜3羽」「6羽」「1〜7羽」「6羽」「7羽」
ここで、「一羽なのですか、たくさんなのですか」ときいた。「たくさん」という声。理由を聞くと「なんとなく」という声が返ってくる。ここでは、あまりつっこまずに次の発問にうつる。

発問2 話者は海雀を遠くから見ているのですか。近くで見ているのですか。
 
 ・遠く  22名
 ・近く   2名
 「近く」派は、「遠くだと銀の点点がみえないから。」という理由を言ったが、「遠く」派から「海雀が遠くからみると銀の点点のようにみえるから。」という理由が出た。
 比喩であることを説明する。

発問3 海雀は飛んでいるのですか。浮いているのですか。
 
 ・飛んでいる   17名
 ・浮いている   5名
「飛んでいる」は印象でそう思っている子が多かった。一方「浮いている」は、「波ゆりくればゆりあげて」「波ひきゆけばかげ失する」を根拠にするが決定的な意見はでなかった。そこで、次のように説明した。

説明1  話者がいます。(目玉で板書)「波ゆりくれば」とは波がどうように動いているのですか。矢印でかいてごらん。(黒板にかかせる)
では「波ひきゆけば」はどうなるんですか。矢印でかきなさい。(同様に黒板にかかせる)「ゆりくれば」で海雀が「ゆりあがる」ように見えるのです。そして「ひきゆけば」で「かげ失する」ように見えるのです。とんでいるのですか。ういているのですか。
では、「かげ」を辞書でひきなさい。ここではどういう意味ですか。(「姿・かたちという意味があることを確認した。)「かげ失する」は「海雀の姿がなくなる」という意味です。ですから、ここでは海雀は「ういている」と考えられるのです。
 
 
 子どものノートは次のように書いていた。
 
○今日は海雀について考えた。考えたことは海雀がういているか、飛んでいるか。
 A ういている
 B 飛んでいる
 ぼくはAだ。さいしょはBだったが、詩を読んでいるうちに気づいた。30ページ4行がAかBかをわけるきっかけになった。「波ひきゆけばかげ失する」この文でぼくはAだと考えた。
 
○きのうときょうで海雀はとんでいるのかういているのか考えた。クラスで意見を出し合ったが、やっぱりとんでいるとういているとで意見が分かれた。最初はとんでいると思ったが、ちさとさんの意見を聞いて、ういているにいった。ちさとさんが言っていた「波ゆりくればゆりあげて」とは、 海雀も波といっしょのようにういている意味でういているにした。
 
○今日は海雀がとんでいるかういているかを考えた。私はういていると考える。理由は「波ゆりくればゆりあげて」とあるから、波が話者の方によってくれば、海雀も波にのって、話者の方に近づいてくるという意味で「波ひきゆけばかげ失する」は、波がひいていけば海雀も波にのって見えなくなるという意味だと思うから。
 

発問4 話者の位置を上から見ました。海雀の位置を図に書いて説明しなさい。
 

いくつか意見がでたが、ここではかるく人数をきいて、教師の解を示した(上から見ると海雀が海岸線と平行になるように並んでいる)。

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