(C)TOSSインターネットランド /小学校/6年生/国語/詩/分析批評/


ふるさとの木の葉の駅

田代勝巳(TOSS SANJO)

向山洋一氏の追試である。1981年5月14日、調布大塚小学校6年3組で行われた授業テープ(東京教育技術研究所扱い)をもとにして追試した。

   ふるさとの木の葉の駅
                 坂村真民
この駅で
いつも母が待っていてくれた

駅には赤いカンナの花が咲き、
車窓にはそれが近々と迫ってきた

母のいないさびしい駅を
わたしは 息をのんで過ぎていった

詩の書いたプリントを配布する。

1 朗読

指示 読んでごらんなさい。

1人ずつ指名して立たせて読ませる。
読み間違いは、訂正する。

指示 一番最後の一文を読んでごらんなさい。

一字分あきの部分を正しく読んでいる(間をとって読んでいる)子と、そうでない子に交互に読ませる。

指示 読み方が違うんです。一番、最後の文、みんなでゆっくり読んでください。

発問 「わたしは息をのんで過ぎていった」なのですか、「わたしは 息をのんで過ぎていった」なのですか。先の方ですか。後の方ですか。

指示 じゃあ、そのように読んでください。

説明 「わたしは」の後、1字分あいているんです。だから、そこをちゃんと空けて読むんです。


2 問答

発問 お母さんは、今どうしているんですか。

手を挙げさせて意見を聞く。
亡くなったか、駅にきていいないだけかに分けて、人数をきく。
簡単に討論する。
「もう一度、人数を聞いて次の発問に移る。

発問 「いつも」とはどういう意味ですか。

・毎日毎日
・来る度に、帰ってくるたびに
人数をきて、後者であることを確認。

発問 「いつも母が待っていてくれた」とあります。「母が待っている」と「待っていてくれた」ではどうちがいますか。

「待っていてくれた」には「ありがたい」という意味が含まれている。

発問 「車窓」とあります。車の窓という意味です。「私」は何に乗っていますか。

電車
列車でも急行か何かである。
「木の葉」というのは九州にある駅であることを説明する。
ここでは「木の葉駅」には止まらなかったことをおさえておく。

3 伏線

発問 第2連に「 駅には赤いカンナの花が咲き、車窓にはそれが近々とせまってきた」とあります。「それ」は何を指しますか。ノートに書きなさい。

ノート作業の間に詩を板書する。
・赤いカンナ、カンナの花
・駅
・両方
人数をきいて、次に移る。

発問 この詩の中で、一連、二連、三連の中で大切な言葉を二つ選びなさいと言ったらば、何と何を選びますか。何々と何々とノートに書きなさい。

意見を聞きながら同じ考えを挙手で確認していく。
・母とカンナ
・駅と母
・いないとカンナ
・母と待っている
・駅とカンナ

発問  「母のいないさびしい駅を わたしは 息をのんで過ぎていった」 息をのむ。そこ1字分あいています。その瞬間何か思ったんです。その時思ったことを書きなさい。「わたしは 息をのんで過ぎていった」過ぎさる瞬間です。

5人ほど指名して答えさせる。

4 中心

発問 車が走っています。視点が動いています。駅があります。はるか彼方から列車が来ます。視点が移動しています。その時、第一連をAとします。第二連をBとします。第三連をCとします。それぞれどこらへんの所でどれを思ったのですか。絵にかきなさい。

黒板に駅の図を板書する。(列車の進行方向を矢印で示す)

子どもに板書させながら説明させる。   

発問  駅がかすかに見えた時に 「この駅で いつも母が待っていてくれた」と思ったという人手をあげてごらんなさい。その人達に聞きますけれども、その場合は、この駅ではなくて、あの駅にではないですか。

・意見があったら聞く。
だから駅が全然見えない時か駅に入る寸前かどちらかなら説明がつく。
駅がかすかに見えたときにAを思っているというのはちがうことを確認する。

発問 まだ駅が見えない時に、心の中で思っていたのは何ですか。

Aのことを思っていたという人?
それ以外?

発問 「ふるさとの木の葉の駅」とあります。なぜこれは「ふるさとの木の葉駅」ではないんですか。ふるさとの東京駅、東京の駅とどうちがいますか。

・東京駅だと駅をさす。東京の駅は東京の中の一つの駅。

説明 頭で描くのは、ふるさとを描いているんですね。この「の」はふるさとはどこだというんですか。木の葉という場所なんです。ふるさとを頭に描いているんです。その中の駅なんです。ふるさと全体を描いている。だから先生は、列車に乗って、ずーっとやってくるときにまず心に描いたのは、まずふるさと。ふるさとの木の葉を描いている。その駅に向かってやっていく。だから先生はまだ母を思い出していないと思うんです。

まだ駅が見えていない時にAのことを考えたという解釈も成り立つとしながら教師の考えを話す。

発問 はるか彼方に離れています。ふるさとを思い描きます。木の葉です。駅があります。駅にむかって行きます。最初に思い描いていたのは、駅なんです。駅を思い描いていたんです。だから「駅には」の「は」なんです。まず真っ先に飛び込んできたのは何ですか。

発問 赤いカンナの花なんですね。そしてそれが車窓に迫ってきたとあります。「迫ってきた」と「近づいてきた」というのではどうちがいますか。

・「迫ってきた」には圧迫感がある。全体が押し寄せてきた。

発問 「わたしは 息をのんで過ぎていった」わたしは その瞬間何を思ったんですか。この詩の中でいうとどれですか。

この駅で
いつも母が待っていてくれた

発問 「過ぎていった」というのはどういう時に使いますか。


説明 「過ぎていった」というのは自分で自分を見送っているんだと思います。

5 朗読

指示 もう一度よんでごらんなさい。

最後に1人を指名して終わる。


TOPページTOSSインターネットランドご意見・ご感想
TOSS(登録商標第4324345号)、インターネットランド(登録商標4468327号)
このサイト及びすべての登録コンテンツは著作権フリーではありません
.